年金分割の請求期限は、原則、離婚などをした日の翌日から起算して2年以内です。また、財産分与の請求期限も離婚の時から2年以内です。すみやかに手続きをしておきましょう。
財産分与とは、婚姻生活中に夫婦で協力して築き上げた財産を、離婚の際にそれぞれの貢献度に応じて分配することをいいます。法律にも、離婚の際には、相手方に対し財産の分与を請求することができる(民法768条1項)と定めています。
離婚を急いでしまうと、夫婦の財産について細かい取り決めをせずに、もらえるはずの財産をもらわないまま別れることになりがちですが、法律上認められている権利ですので、しっかり取り決めをすることが重要です。
財産分与には、大きく分けて3つの種類があります。
清算的財産分与 | 夫婦が婚姻中に形成した財産の清算 |
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扶養的財産分与 | 離婚により困窮する(元)配偶者の扶養 |
慰謝料的財産分与 | 傷つけたことに対する慰謝料としての意味を含むもの |
離婚の際の「慰謝料」とは、離婚によって被る精神的苦痛に対して支払われるお金のことです。すこし難しい表現ですが、「精神的苦痛を慰謝するための損害賠償である」ともいえます。
慰謝料は、離婚の際に必ず支払われるものではありません。離婚に至る原因を作った有責配偶者に対して、精神的苦痛を被った他方の配偶者が慰謝料の請求をすることができるのです。しかし、離婚理由として多い「性格の不一致」や「価値観の相違」など、どちらかが一方的に悪いわけではない場合は、慰謝料の請求ができなくなるため注意してください。
離婚の際の慰謝料については、大きく次の2つに分類されます。
(1)浮気や暴力など離婚に至った原因行為から生じる精神的な苦痛に対するもの
(2)離婚をすることそれ自体(=配偶者の地位を失うこと)から生ずる精神的苦痛に対するもの
裁判上、(1)に基づく慰謝料が認められる典型例は、次のような場合です。なお、あくまでも典型例ですので、慰謝料が認められる場合は、これらに限らず、個別具体的な事情によって異なります。
・浮気・不倫(不貞行為)
・暴力、悪意の遺棄
・婚姻生活の維持への不協力
・性交渉の不存在
なお、夫婦関係の破綻による離婚のケースにおいて、主に自分の側に原因がある場合には、逆に慰謝料を請求されてしまう可能性があります。反対に、相手側の浮気(不貞行為)が原因で離婚に至るような場合には、浮気相手(不貞相手)に対して慰謝料を請求できることになります。ただし、浮気相手と配偶者の両方から、慰謝料を二重取りすることはできません。
たとえば、300万円の慰謝料が認められるケースで、浮気相手からすでに300万円の慰謝料を受け取っていた場合、配偶者に対してそれ以上の請求をすることはできなくなります。逆に、浮気相手から十分な慰謝料を受け取っていない場合には、配偶者に重ねて慰謝料の請求をすることができます。
そのほか、不貞行為前に夫婦関係がすでに破綻していた場合や、不貞相手が婚姻している事実を知らなかった場合には、慰謝料が認められないケースもありますので覚えておきましょう。
年金分割には、合意分割と3号分割の2種類があります。わかりやすく整理して比較をしてみましょう。
離婚日 | 平成19年4月1日以後 | 平成20年4月1日以後 |
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夫婦間の合意 | 按分割合(分割することおよび分割割合)について必要。合意ができないときは裁判に分割割合を決定してもらう。 | 不要 |
分割対象期間 | 婚姻期間(平成19年4月1日以前も含む) | 平成20年4月1日以降の婚姻期間のうち、第3号被保険者であった期間 |
分割割合 | 2分の1が上限 | 2分の1 |
請求期限 | 原則として、離婚日の翌日から2年以内 | 原則として、離婚日の翌日の2年以内 |
対象者 | 第3号被保険者だけでなく、第1号被保険者、第2号被保険者でも可能 | 平成20年4月1日以降の婚姻期間のうち、第3号被保険者であった期間がある方のみ |